ばね指について

おはようございます。理学療法士の深澤です。

現在、感染症の影響により自宅で過ごすことが増え、またスマートフォンやタブレットの普及により、仕事や家事仕事以外での手にかかる負担が増えている状態が起きています。手指に負担がかかった状態の生活が続くと、寝起きに指が引っ掛かり伸びなくなり、力を入れて伸ばすと、ばねが弾むように伸びるといった経験はありませんか。今日は、指を酷使することで起こる、ばね指の話しをします。

ばね指とは、指に発症する腱鞘炎の一種を指します。ばね指を発症すると、指の付け根の痛みや腫れなどの炎症症状が起こります。初期症状は朝方に指のこわばり感が見られることが多く、日中は適度に動かしている場合は改善します。病状が進行すると、『ばね現象』と呼ばれる指がはねるような症状が見られるようになります。手指を曲げ伸ばしする時は、腱鞘と呼ばれる、バンド状の輪になっている組織の中を、腱が往復するように動きます。腱や腱鞘がなんらかの原因により、厚くなったり硬くなったりすると、腱鞘と中を通る腱が擦れあい、炎症が起こります。腫れた部分が引っ掛かり、指を伸ばそうと強い力を加えるとばねが跳ねるような動きが起こります。この動きが『ばね現象』です。また、症状が更に悪化すると、『ロッキング』と呼ばれる、指が動かなくなってしまう現象が起こることもあります。

指を酷使する方に発症しやすいですが、女性の場合は妊娠後期や更年期に多く見られ、若年層や男性ではキーボード等の入力作業が関連して発症します。

治療では、手指の使用頻度を減らすことが重要になります。一般的には、湿布や消炎鎮痛剤の使用やリハビリテーションによる腱・腱鞘機能の改善、ステロイド注射を行います。改善がみられなければ、腱鞘を切開する手術を行う場合もあります。

以前、担当した患者様にも前の文に書いた様な症状がみられ、特に朝の動かしにくさ・指の付け根の痛みと、『ばね現象』の訴えが強くみられました。原因は、仕事と趣味活動による、手指の負担によるものでした。

リハビリの内容は、手指の負担を減らす為の生活指導、手指の腱・腱鞘を伸ばすストレッチ等を行いました。ばね指は、手指の負担を抑えることが出来ない場合、再発する可能性があります。ストレッチ等のリハビリも重要ですが、再発予防の為には負担のコントロールが特に重要です。先述した患者様は徐々に改善し、手指の負担のコントロールが必要な状態ですが、症状は見られなくなりました。リハビリ終了時には、再発予防のためにストレッチ指導、生活指導を行いました。

リハビリでは、通院時だけでなく、ご自宅で行う運動や予防の為の体操指導なども行っています。
手指の症状でお悩みの方がいらっしゃいましたら、ご相談ください。
この記事が、皆様の日々の健康にお役立てできれば幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。